カンバーランド長老キリスト教会

めぐみ教会

東京都東大和市にあるプロテスタント長老派のキリスト教会です

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  • 2025年11月16日「火付盗賊改方、長谷川平蔵である」出エジプト記6章2~13節

    皆さんは周りの方からどんなふうに呼ばれているでしょうか。私も「千穂子先生」「ちほねえちゃん」「ちほりーぬ」など、呼ぶ人との距離によって呼び名が変わります。呼び名は関係性を表します。今日の出エジプト記6章2~13節には、神さまの“呼び名”が変わっていく様子が描かれています。では、人と人との関係が深まるように、神さまと人とのあいだではどんな呼び名の変化があったのでしょうか。

    この箇所には「私は主である」という神さまの宣言が最初と最後に置かれています。これは「囲い込み」という、文章の中心のテーマを示す技法です。つまり物語の核心は「私は主である」という言葉にあります。神さまはモーセに語ります。「私はアブラハム、イサク、ヤコブには全能の神として現れたが、『主』という名は知らせなかった。」イスラエルの先祖たちは「エル・シャダイ(全能の神)」としての神を知っていました。しかしモーセに対して神は「主(ヤーウェ)」と名乗られます。「ヤーウェ」は“I am”—「わたしはいる」「ここにいる」という意味です。“性質を表す名前”から、“存在を表す名前”へ。神様は教える名前を変えられたのです。その背景にはモーセの状況があります。モーセはイスラエル人として生まれながらエジプト王宮で育ち、やがてエジプト人を誤って殺してしまい荒野へ逃れます。そんな彼に神さまは「エジプトに戻って民を救い出せ」と命じます。モーセにとっては到底引き受けたくない使命でした。当然拒むモーセに、神は「私は主である」と語られます。“遠くの全能者”ではなく、“そばで力を用いる神”。その宣言に励まされ、モーセはファラオのもとへ向かいます。しかし結果は失敗。逆にイスラエルの苦役は重くなり、民から責められ、モーセは深く疲れ果てます。「何のために戻ってきたのか」と問い、心身が弱り切ったモーセに、神さまは再び最初と同じ言葉を告げます。「わたしは主である。」—「わたしが今ここにいる。あなたのために全能の力を行使する。」これこそが、神さまがご自身を「ヤーウェ」と名乗る理由でした。神は“全能の神”であるだけでなく“共にいてモーセのために力を行使する神”であることを示されたのです。

    今日の説教題「火付盗賊改方、長谷川平蔵である」は『鬼平犯科帳』の決め台詞です。鬼平が事件現場に踏み込むとき、自ら名乗りを上げます。この宣言は悪人には恐れを、弱い立場の人には救いと安心をもたらしました。「助けが来てくれた」という圧倒的な慰め。まして、その“助けに来る者”が“全能の神”だとしたら、どれほど心強いでしょう。神はモーセに向かって、「全能であり、あなたのために力を使う神だ」と語り続けられます。その言葉がモーセをもう一度立ち上がらせました。

    私自身も、心が疲れ切ったとき「私は先生の味方です。一緒にいます」と声をかけてくださった方がいて、立ち上がる力をいただいた経験があります。“近くに味方がいる”という事実は大きな支えです。モーセには、その「味方」が神ご自身だったのです。神はイスラエルをエジプトから救い出し、約束の地に導くことを約束されました。実現の見通しなどまったくない段階で、それでも神は「わたしは主である」と告げ続けます。

    今日、礼拝後には教会員総会があります。私たちめぐみ教会は小さな群れで、数字を見ると未来に希望を持つことは容易ではありません。少子高齢化の中、日本の教会全体がため息をついています。それでも今日、この日に神さまが「わたしは主である」という言葉を与えてくださった意味を受けとめたいのです。数字だけでは希望が見えにくい現状でも、神さまは変わらず語っています。「全能の神があなたの味方だ。ともにいる。あなたのために力を使う。」イスラエルを救った神は今も生きて働き、「わたしは主である」と宣言し続けられます。もちろん私たちは何もしなくてよいわけではありません。神さまは“棚から牡丹餅”的な生き方ではなく、祈り、相談し、知恵を働かせながら神の国をこの地に建て上げるよう招いておられます。しかし、“もうお手上げだ”と思うときこそ思い出したいのです。モーセに語られた神さまが、今日の私たちにも語っておられることを――「わたしは主である。」

    最初から最後まで変わらず宣言し続け、教会と一人ひとりの歩みを守り、日ごとの糧を備え、支え続けてくださる神。その確かな御手に人生をゆだねながら、今日も共に歩んでいきたいと願います。(篠﨑千穂子)

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