カンバーランド長老キリスト教会

めぐみ教会

東京都東大和市にあるプロテスタント長老派のキリスト教会です

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  • 2025年7月13日「”渇き”の終わりを告げるため」ヨハネによる福音書4章1~19節、19章28~30節

    今日の新約聖書の朗読箇所はヨハネ福音書から二か所を選びました。最初の箇所には、一人の心渇いた女性と主イエスの出会いの物語が記され、もう一か所には、十字架上で死んでいかれる主イエスが最後に発した言葉が「渇く」という言葉だったことを伝えています。今日は主イエスの「渇く」という言葉を手掛かりに、十字架の出来事の意味についてご一緒に考えてみたいと思うのです。

    福音書記者ヨハネは、主イエスが十字架にはりつけにされていく様子を淡々と伝えています。自ら十字架を背負ってゴルゴタの丘に向かわれた様子。主イエスを真中にして、両サイドに二人の囚人も十字架にはりつけにされたこと。十字架の上に掲げられた「罪状書き」についての説明。そして、兵士たちが主イエスの服を分け合う様子。さらに十字架のそばには何人かの女性たちがいたことも記録されています。そして、その中には主イエスの母マリアもいました。ご自分はもう十字架で死んでいかれますから、母親を「愛する弟子」に託されました。この「愛する弟子」とは、この福音書を記した使徒ヨハネであると言われています。主イエスは弟子のヨハネに母親マリアを託されたのです。そして最後に、すべてのことを成し遂げられたことを知り、主イエスは「渇く」と言われました。そのことを記録した後、ヨハネは、「こうして、聖書の言葉が実現した」と解説を加えています。

    この「渇く」という主イエスの最後の言葉は、なぜご自身が十字架で死なれたのかを物語る言葉なのではないでしょうか。それは、「渇き」を経験しているすべての者の、その「渇き」の「終わり」を告げるためです。私たちの経験する「渇き」を十字架上で渇き切ってくださったのです。私たちの「渇き」を癒すためでした。高座教会に居た頃の話です。牧師館に、小学校一年生の女の子が遊びに来ました。教会の子どもです。その子があごに青いアザをこしらえていました。〈どうしたんだろう。痛そうだ…〉と思いました。その子の母親に尋ねると、「実はね…」と、こんな話をしてくれたのです。その女の子に、つい最近、妹が生まれた。お母さんは、赤ちゃんが寝ている隙に、小学一年生のその女の子にお留守番を頼み、近くのスーパーに買い物に出かけました。ところが、気配を察したのでしょう、お母さんが出掛けて間もなく泣き出したのです。その子は困りました。色々な事をするのですが泣き止まないのです。そこで小さい体で細い腕で赤ちゃんを抱こうとしたとき、その子のあごが赤ちゃんの唇に触れた。その途端、赤ちゃんは、それがお母さんのおっぱいだと思い、チューチュー吸い始めた。そして、しばらくして泣き止んだそうです。その結果、お姉ちゃんのあごには青いアザができてしまいました。

    赤ちゃんが、お母さんのおっぱいを吸って、お母さんのふところで安心してスヤスヤと休むことができるように、私たち元々「人間」は、ギリシャ語で「アンスロポス」「上を向く者」として神に向けて造られていますから、そのお方と出会い、そのお方から愛の語りかけを聴き、そのお方の胸に抱かれ、そのお方の愛を実感するまでは、心の中の「渇き」は癒されないのです。

    私たちカンバーランド長老キリスト教会の「礼拝指針」に、私の大好きな次のような言葉があります。

    「…私たちは人間として、欠乏感に迫られて礼拝することを知っている。私たちは自分自身では満ち足りることができないのであり、造り主と出会い、礼拝することによって、完成と充足を経験するのである。礼拝するとは、人間が人間になることである。」

    私たちの心の中にある「渇き」、「礼拝指針」は「欠乏感」と言い換えていますが、それは、自分の力、あるいは人やモノによってはとうてい満たされません。なぜなら私たち人間とは、「造り主と出会い、礼拝することによって」初めて「完成と充足を経験する」者として元々造られ、そのような者として生かされているからです。

    主イエスは言われます。「この水を飲む者は誰でもまた渇く。しかし、私が与える水はその人の内で泉となり、永遠の命に至る水が湧き出る。」

    神さまを信じて生きる、信仰を持って生きるということは、何か特別な人間になることではなく、むしろ人間らしく生きること、神さまが造られた私として生きること。そのためにも、ぶどうの木である主イエスに繋がり続け、命を与える水をいただき続けたいと願うのです。お祈りします。(松本雅弘・あさひ教会協力牧師)

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